医療費控除の対象?パート2 適用条件は
2019.08.18コラム
「矯正治療をしたいけど高いお金を払わないといけないと思うと、悩んでしまう」という人も多いですが、大人の場合、矯正歯科で「租借障害」や「発音障害」といった診断名がつくと医療費控除の対象になります。ここでは、矯正歯科で医療費控除の対象になる条件や、控除額、還付金などについてまとめています。
矯正歯科での治療費は医療費控除の対象なの?
矯正治療といってもその方法はさまざま。ワイヤーを使用したブラケット矯正や、マウスピース矯正、部分矯正など、基本的には保険適用されない自由診療になるので、「矯正したいけど実費で払うのは難しい・・・」と悩んでいる人も多いです。
審美的な美容目的(歯を削って人工物を歯にかぶせるなど短期的に見た目を良くすること)の場合は対象外になりますが、一部の治療は医療費控除の対象になります。
では、どういった矯正治療で医療費控除が適用されるのでしょうか?
医療費控除の対象となる条件
医療費控除は、1月1日~12月31日までの期間に、実際に支払った医療費が家族で合算して10万円を超えた場合の超過分に対して適応されるものです。
出産育児一時金や、高額介護サービス費等を利用した場合は、それらを差し引いた後の金額で判断します。
歯の機能に関する診断名が付く場合
大人の矯正治療の場合、医療費控除になるのは、機能障害といった診断名がつく場合です。
歯の機能としての問題が生じているケースで、噛み合わせが悪い、咀嚼に問題がある、歯並びが悪いことで発音に影響を及ぼすなどが具体的な例になります。
子どもの歯科矯正を行う場合
子どもの場合は無条件で医療費控除の対象になりますが、子どもはまだまだ発育途中でこれから成長によって歯が移動することも考えられるので、歯並びの矯正は、その後のあごの成長を促す「治療行為」として、控除対象になっています。
ただし、年齢要件には「〇歳までを対象にする」という明確な基準が設けられていません。一般的には中学生くらいまでの場合は子どもの矯正と扱われますが、判断は各管轄の税務署に委ねられているので、子どもの矯正を考えている親御さんは一度税務署に確認してみると良いでしょう。
医療費控除でいくら還付されるの?
医療費控除額の計算式は、
医療費控除額(上限200万円)=一年間の医療費-(保険金などの受給額+10万円)となります。
矯正治療における医療費控除の対象額は、基本的に10万円とされており、保険金の受給額は、生命保険などで入院費用などを得た分を医療費控除から差し引きます。
また、医療費控除は所得税や住民税を計算する際に所得から差し引く額になるので、所得額に応じて税率が変わり還付金額も変わります。
還付金額は「医療費控除額×所得に応じた税率」
で、計算されます。
例えば、所得が500万円で矯正費用に100万円かかったとします。その場合、(100万円-10万円)×20%=18万円となるので、18万円が還付金額になります。
また、医療費控除は住民税にも関わってきます。住民税の場合は、所得税率に関わらず一律医療費控除の10%が減額されるので、先ほどの例を挙げると、所得税の還付額と住民税の減額金額で合計27万円お得になる計算になります。
つまり、医療費控除や還付金を利用すれば、通常100万円かかるところ、73万円で治療が受けられるということです。
治療前に医療費控除の対象になるか確認しよう
大人は「租借障害」や「発音障害」といった診断名がつく場合に医療費控除の対象となるので、医療費控除を利用しようと考えているなら、前もって治療を受ける病院に自分が控除の対象になるのか確認することが大切です。
また、医療費控除額には歯医者に通うための交通費や、ローンなども対象になるので、まずは自分の症状が控除対象になるか確認するのを忘れないようにしましょう。