子供の歯の矯正にレントゲン撮影が必要な理由
2020.01.30コラム
歯の矯正治療では、骨や組織など目に見えない部分の診断にレントゲン撮影が行われます。歯科用のレントゲン装置は放射線量が微量であり、健康被害の心配はありません。
歯科矯正治療を行う際には、どのように矯正治療を進めていくか診断するためにレントゲン撮影を行います。
治療前の患者さんの状態も記録しておかなければならないので、目視だけでは確認できない部分までしっかりとデータを残すようにします。
ここでは子供の矯正治療でレントゲン撮影を行う理由について詳しく解説していきます。
子供の歯の矯正でのレントゲン撮影が必要なケースとその理由
矯正歯科ではレントゲン撮影が必須となります。お子さんが被ばくするのではないかと不安に感じる方も多いかもしれませんが、適切な噛み合わせを目指す際にレントゲンは重要な役割を果たします。
ここでは子供の歯列矯正治療でレントゲン撮影が必要になるケースと理由をみていきます。
ケース1:噛み合わせの状態がわからない場合
子供に限らず、患者さんの口の中の状況というものは目視しただけではわかりません。
特に歯茎やアゴの骨など、歯を支えている土台部分はレントゲンを通してしか確認できないため、治療前の撮影が必須となります。
出っ歯のように原因がいくつも考えられる症例は、顔の骨格も精密に調べなければならないため「頭部X線規格写真(セファロ)」を使用して詳細に診断します。
土台のずれは、頭部X線規格写真(セファロ)を撮らなければ、ずれを確認できません。また、治療前と治療後で変化を確認できない。
つまり、治ったかどうか?わからないとういうことになります。
ケース2:適切な治療計画を立てなければならない場合
子供は大人と違って成長に合わせて骨格を変えていくため、将来を予測しながら治療計画を立てていかなければなりません。
そのため異なる時期に写真を1枚ずつ撮って、そこから成長の方向や程度を予測します。具体的な治療内容も、この撮影方法によってある程度決定することができます。
ケース3:治療計画を見直す場合
治療中「反対咬合が治らない」「部分的に噛み合わせが崩れてしまった」といった変化が出たときに、治療前の写真と比較して対処方法を決めていきます。
レントゲンを撮らなければ、治ったか?治ってないか?確認できません。
矯正治療に必要なレントゲンの放射線量はごく微量
歯科医院に用いられているレントゲンは、他の診療科で使用されているレントゲン装置よりも被ばく量が低く、健康被害の心配はありません。
社団法人 東京都歯科医師会が発表した資料によると、歯科医院で使われるレントゲンから受ける放射線量は0.01ミリシーベルト、それに対し大気から自然に受ける放射線量は1.2ミリシーベルトと、ごく微量であることがわかります。
参照:社団法人 東京都歯科医師会「歯科治療のX線撮影は安全です!─放射線と歯科X線撮影のお話─」
https://www.tokyo-da.org/images/pdf/1108.pdf
歯科矯正でレントゲン撮影をしないケースはある?
歯科で矯正治療を受ける場合、レントゲン撮影を不安に感じる方も多いかもしれません。
もちろん無理にレントゲン撮影を行うことはありませんが、撮影をしないケースというのはほとんどないといえるでしょう。
レントゲン写真は、一人ひとりの患者さんに適した治療を提供するうえで重要な判断基準となります。妊娠中など特別な事情がない限り、レントゲン撮影をせずに適切な処置はできません。
レントゲン撮影を行わずに治療を進めるケースということはほとんどありませんが、同じ時期に何度も繰り返し撮影を行うことはなく、健康上重大な被害を受ける心配はありません。
不安な方は医師に相談を
レントゲン撮影によって健康被害を受ける心配はありませんが、不安な方は医師と話し合いのうえ治療に必要な理由を聞いておくと安心です。
子供の口の中や骨・組織の状態によってレントゲンの意義は異なりますので、医師からの説明に納得したうえで治療を進めるようにしてください。