セラミックブラケット
2025.10.16お知らせセラミックブラケット:素材の本質と機能性 セラミックブラケットは、従来の金属製ブラケット(メタルブラケット)に代わり、審美的なニーズを満たすために開発された固定式矯正装置です。
セラミックブラケット:素材の本質と機能性
セラミックブラケットは、従来の金属製ブラケット(メタルブラケット)に代わり、審美的なニーズを満たすために開発された固定式矯正装置です。単に「白い」というだけでなく、矯正のメカニクスと使用感に影響を与える独自の特性を持っています。
1. 審美性の本質:色と光の透過性
ほとんどのクリニックでは「透明」または「白い」と説明されますが、その本質は光の透過性と色の恒久性にあります。
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周囲の歯の色との調和: セラミックは半透明または乳白色の陶器でできています。この特性により、ブラケット自体が歯の色を反射・透過し、装着する方の天然歯の色と自然に調和します。遠目からはほとんど目立たず、至近距離でも金属のような異質な光沢がありません。
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変色の心配がない: プラスチックやレジン製のブラケットと異なり、セラミック素材は飲食物の色素を吸収しないため、長期間使用しても変色や着色の心配がありません。治療開始時と同じ透明度を保ち続けます。
2. 機能性の特性:硬度と摩擦抵抗
セラミックは非常に硬い素材であり、これが治療のメカニクスに影響を与えます。
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金属アレルギーの回避: 陶器素材であるため、金属アレルギーの心配が一切ありません。体質的に金属を避けたい方にとって、ワイヤー矯正の選択肢を広げる重要な要素です。
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歯の移動メカニクス: セラミックブラケットとワイヤーが接触する部分で生じる摩擦抵抗は、メタルブラケットよりも若干高い傾向にあります。この摩擦は、治療初期の段階で歯の動きをやや遅くする可能性があります。しかし、近年は摩擦を軽減するための特殊なデザイン(セルフライゲーション式など)が開発されており、ブラケットの性能は進化しています。
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対合歯への影響(リスクの認識): セラミックは非常に硬いため、噛み合わせが深い症例などで、ブラケットの先端が下の歯の表面(エナメル質)に強く接触し続けると、ごく稀に下の歯が摩耗するリスクがあります。このリスクを避けるため、歯科医師はブラケットの位置や噛み合わせを注意深く管理します。
3. 使用上の注意点と耐久性
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衝撃への注意: セラミックは硬い反面、金属ほどの粘り強さがないため、強い衝撃や硬い食べ物を噛んだ際に割れたり欠けたりするリスクが、メタルブラケットよりも高くなります。欠けた場合でも交換が可能ですが、日常生活では注意が必要です。
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ワイヤーとの組み合わせ: セラミックブラケットの審美性を最大限に引き出すため、目立たない**ホワイトワイヤー(白いコーティングを施したワイヤー)**と組み合わせて使用することが一般的です。これにより、装置全体をほとんど目立たない状態に保つことができます。
セラミックブラケットは、審美性を最優先しつつ、確実なワイヤー矯正による治療効果を得たいと考える方に最適な選択肢と言えます。
監修 葛西ジェム矯正歯科