エッジワイズ装置の歴史
2026.02.12お知らせ
エッジワイズ装置(Edgewise appliance)「近代歯科矯正の父」エドワード・H・アングル(Edward H. Angle)によって1925年に発表されます。
アングルは、1900年のE-arch、1910年の「pin and tube」装置、1916年のリボンアーチ(Ribbon arch)といった装置の改良を経て、最終的にこのエッジワイズ装置に到達しました。この装置の革新的な点は、ブラケットに水平なスロット(溝)長方形(レクタンギュラー)のワイヤーを挿入する仕組みにあります。これにより、歯を三次元的に、かつ正確にコントロールすることが可能となりました。当初は金合金のワイヤーが用いられていましたが、後にステンレス鋼が主流となりました。

アングルの弟子であるツイード(Tweed)らは、この手法をさらに発展させ、スタンダード・エッジワイズ法を確立しました。ツイードは、それまで非抜歯を原則としていたアングルの理念に対し、症例によっては抜歯が避けられないことを提唱し、治療の精度を高めました。この手法は、歯科医師が患者一人ひとりの歯の形や傾きに合わせて手作業でワイヤーを曲げるため、**「フルオーダーメイド」**の治療と言われています。
その後、1970年代から1980年代にかけて、ローレンス・F・アンドリュース(Lawrence F. Andrews)がストレートワイヤー法(Straight wire technique)を開発しました。これは、理想的な歯並びの情報をあらかじめブラケットのスロット(溝)の角度や厚みとして組み込んだ**「プリアジャステッド(既調整)装置」**を用いる方法です。この発明により、複雑なワイヤーベンディングを最小限に抑え、治療の効率化と平準化が図られるようになりました。
さらに、このストレートワイヤー法をベースとして、以下のような改良が進みました。
- ロス(Roth, R. H.): アンドリュースのシステムを簡略化し、世界的に普及させました。
- MBTシステム: マクラフリン、ベネット、トレヴィジ(McLaughlin, Bennett, Trevisi)の3名によって、歯の三次元的コントロールと滑り(スライディング)のメカニクスを改善したシステムが考案されました。
現代では、これらの歴史的な流れを汲みつつ、摩擦を軽減するセルフライゲーティングブラケットや、デジタルシミュレーションを活用した精密な治療計画が組み合わされ、エッジワイズ法はさらなる進化を遂げています。
監修 葛西ジェム矯正歯科



